コンテンツマーケティングを実践する多くの企業ではヒートマップツールを活用しています。導入自体もJavaScriptをページに挿入するだけですので多くの企業が使っているのもうなづけます。
このヒートマップツールを活用するとユーザーの行動が実際にどのようになっているのかをビジュアルに表現してくれるためユーザーエクスペリエンスの改善に必要不可欠な存在と言えるでしょう。
今回は、そんなヒートマップツールに興味がある方、分析の仕方がわからない方に対してどのような機能が提供されるのか、どのように分析すれば良いのかといったポイントをご紹介します。
いくつかの有名なヒートマップツールがある中で、最近よくきくPtengineを例にして、効果的な使い方について解説していきたいと思います。(リードプラスでは、HubSpotと連携性の高いHotjarを使ってますがお客様先でよく見るツールということでPtengineで説明します!)
全くの初心者で一般的なヒートマップツールに関する情報は「コンテンツマーケティングに必要不可欠なヒートマップツールを解説」をご確認ください。
ヒートマップの基本機能
最初に、ヒートマップの基本機能をさらりと復習しておきましょう。
計測できること
〇スクロールマップ
どの位置までスクロールされたかを計測します。
〇クリックマップ
どの箇所がクリック(タップ)されているかを計測します。
〇アテンションマップ
ページ内でよく見られている箇所を計測します。
クリックマップは、リンク以外の箇所も計測できるのがポイントです。
リンクがないのに誤ってクリック、タップしてしまう箇所をつかめます。
なおほとんどのヒートマップはスマホサイトに対応しています。
基本的な見方
ヒートマップツールには一般的に2つの視点があります。
- 単体で見る。
- 複合で見る。
単体で見るとは、
ページ内のどこが良く見られているか、スクロールはどの位置までされたのかをマップごとに見ていく方法です。
複合で見るとは、
複数のマップを組み合わせて見ることです。
たとえば「スクロール+アテンション」で見て、下の方が20%を下回る程度のスクロールだったとします。ところがそこに、アテンションで真っ赤な部分があります。つまり注目をされているのですが、いかんせんそこまでスクロールしているユーザーが少ないので、影響力は高くないはずです。
そこでその真っ赤な部分を、ページの上部に持ってくることを検討します。よく見られているのだから、もっと目立つ位置にあった方が良いという判断です。
このように2つのマップを組合せると、ヒートマップの価値は高まります。
見やすい、面白いだけの測定ではもったいない
さて、本章がこの記事のメインになります。
セグメントを分けて見る
ヒートマップはビジュアル的なインパクトがあることでも人気ですが、多くの企業で本当に役に立っているとは言い難い状況です。
継続的にヒートマップを入れて見ていると分かるのですが、同じページに大きな変化は起こらないことが多くあります。
もちろん改善してページ内を変更していれば別ですが、同一の内容だったら「ここがよくクリックされている」「スクロールは大体この位置で止まっている」など、いつもの結果が出ているだけの状態です。
このあたりで「ヒートマップは思ったほど役に立たなかった」といった感じになるのですが、こうした見方をしているとそれも仕方ないでしょう。
しかし実際には、ヒートマップでもっと奥深い分析をしていくことが可能です。
では、どうすれば良いのでしょうか?
それは、別の要素と組合わせるということです。いくつか、具体的なパターンを書き出してみましょう。
- ヒートマップ×訪問者種別(新規ユーザーVS.リピーター)
- ヒートマップ×流入元(自然検索VS.有料広告)
- ヒートマップ×都道府県(東京VS.大阪)
組合わせることで、どういったことが見えてくるか具体的に紹介していきましょう。
たとえば新規ユーザーとリピーターに分けて、あるページのヒートマップを見たとします。
新規ユーザーは、ページ中央付近にある事例紹介の位置にスクロールしている割合が30%以下でした。それに対してリピーターは60%以上ありました。またリピーターはこの事例をよく見ているのが、アテンションマップの色からも分かりました。
リピーターの興味を惹くコンテンツがあるのですから、もしこのページの再来訪の割合が少ないならば、リピートしてもらう施策をもっと考えても良いでしょう。たとえば、リマーケティング広告を出すなどです。
また再来訪をしているユーザーは事例に興味を持っているわけですから、新規ユーザーにも早く気づいてもらえるように目に入りやすい位置に置く、打ち出し方を変えてみるのも手でしょう。
もう一つ、東京と大阪に分けての比較というのもあげてみました。
ネット上の行動で、そんなに地域差が出るのかと不思議に思う人もいるでしょう。しかし業種やページの内容によっては、意外と違った行動をしているのがヒートマップから分かるかもしれません。
スマートフォンだと位置情報も取りやすくなるので、地域で顕著な違いがあればページやコンテンツの出し分けを考えてみるのも良いでしょう。
もちろんこうした改善を行ったら、その前後で比較をするのも大切です。
こうやって別の要素を組合せるだけで、ヒートマップ分析の幅が大きく広がるのが分かります。
例えばPtengineでは、「フィルター」という機能を使って、こうした分析がおこなえます。左右にヒートマップを並べて、それぞれに対して要素を組合せて比較できるのです。左のヒートマップには新規ユーザー、右にはリピーターをといった具合です。
ヒートマップツールとして有名なPtengineですが、「アクセス解析ツールにヒートマップ機能が付いている」という形なので、こうした解析データと組合わせた分析が可能になります。
A/Bテストツール連携をする
ヒートマップと同様、ぐんぐん知名度を高めているのが「A/Bテスト」です。
こちらはヒートマップほどは実装されていないという印象ですが、A/Bテスト未経験のWeb担当者の多くが、できればやってみたいと考えているでしょう。このA/Bテストとヒートマップを組合せることで、かなり有意義なテストと分析ができます。
こちらも具体的に説明していきましょう。
A/Bテストとは、2種類(またはそれ以上)のWebコンテンツパターンで、優劣を競うものです。
そのコンテンツが目的とするKPIに対して、どちらが良かったかを見ます。たとえばパターンAとパターンB、どちらの資料請求ページが高い成果を上げたかなどです。A/Bテストはざっくりとした言い方をすると、「どちらが勝つか」です。
ですからパターンAのCVRが0.35%、パターンBが0.1%ならパターンAの方が勝ったという結果になり、Web担当者はそちらを採用します。
ところが実際のA/Bテストでは、かなり微妙な勝敗になるケースが多々あります。CVRが0.35と0.33だとしたら、前者の方が勝ったから文句なしに採用とはしにくいでしょう。
またもう少し成果を深く追っていきたいこともあります。たとえばパターンAの方が資料請求のCVRは高かったものの、その後に再訪率を見るとパターンBの方が良く、実際の購買につながりやすかったとなると、パターンBの方がビジネスの価値は高いページと評価されるかもしれません。
このように実際のA/Bテストでは、勝ち負け以外に検証すべき点が多く存在しています。
そしてA/Bテストにヒートマップを組み合わせることで、深掘りの検証ができます。
たとえば資料請求が少なかったパターンBは、パターンAよりもリンクが多くそこで離脱しているかもしれません。あるいはファーストビューから下のスクロール率が、何らかの要因で極端に悪いのかもしれません。
こうした分析は、勝敗だけを競うA/Bテストツールでは分からないものです。
Ptengineはアクセス解析を基本にしたツールですので、A/Bテスト機能はありません。しかし他のツールと連携が可能になっています。
A/Bテストツールとしてメジャーな「Optimizely」「Adobe Target」は既に連携できるツールとなっていますし、「Google Optimize」にも対応できるように準備が進んでいるようです。ちなみにHubSpotではProfessional以上でA/Bテスト機能が標準で使えます。
ヒートマップ単体だと物足りない面も多々ありますが、ここで紹介したアクセス解析データやABテストと組合わせれば、ヒートマップでかなり深い分析ができるようになります。
アクセス解析ツールでも計測は可能
ヒートマップをテーマにしてきましたが、実はアクセス解析でも同じような数値の計測はできます。
最も良く知られる、Googleアナリティクスを例にしましょう。
計測をするためには、Googleアナリティクスのイベントを設定します。リンクに対するクリック計測で、この設定をしている方は多いでしょう。なおヒートマップで取れるデータの多くが、このイベントを使うことで計測できます。
またGoogleタグマネージャーを使っていれば、スクロール計測も複雑なことをせずに、用意されたメニューから実装できるようになっています。
とはいえヒートマップと同じくリンク以外の位置のクリックを測ることや、ページを熟読したという基準をどうするかなど、設定にかかる工数はヒートマップ導入より遥かに多くなります。結果もビジュアルが無く数値だけなので、分かりやすさでも断然ヒートマップが優位です。Google アナリティクスの場合はプロ仕様と考えた方が良さそうですね。
ただし、アクセス解析ツールで設定するメリットもあります。それは先程紹介した、「セグメントに分けて見る」がきちんと行えることです。
Ptengineのフィルター機能を使ってもできますが、Ptengineの中にデータを貯めていくことを考えると、Googleアナリティクスの方が有利です。またセグメントを使っての細かな分析ができる面でも、Googleアナリティクスの方が大きくリードします。
さまざまなヒートマップツール
今回はPtengineを例に紹介しましたが、他のヒートマップもそれぞれ魅力があります。
いくつか紹介すると、「Clicktale」はGoogleアナリティクスとの連携が可能です。またAdobeアナリティクスとも連携できるので、ほとんどのアクセス解析のデータを繋げての細かな分析ができます。また「SiTest」「VWO」はA/Bテストツール+ヒートマップです。MAツールとの相性が良いHotjarも魅力的でしょう。
A/Bテストを繰り返していくグロース手法が定着していれば、初めからこのあたりの採用を考えてみると良いでしょう。
まとめ
シンプルな機能と導入のしやすさで広く使われるPtengineを参考にしながら、基本から一歩進んだヒートマップ分析について紹介しました。
デジタルマーケティング分野では効果測定のニーズが高まり、ツールも導入しやすくなっています。しかしまだ取得したデータの深堀りがきちんとできている企業は多くありません。
データドリブンの波は年々大きくなっていますので、身近なツールでのWeb分析を手始めに、この波をリードしていく存在になりましょう。
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