IoTとマーケティングについて考える

 2020.04.15  Marketing Intelligence

最近一般メディアにおいても、「IoT」という言葉が目につくようになりました。そのため、これまでは一部のテクノロジー会社のバズワードのような扱いだったものが、一般消費者にも広まり、マーケティング担当者の中でも一般的な言葉として認知されるようになったと思います。

特に製造業を中心にして広がりつつありますが、今後はより広範なサービスなどにも不可欠なコンセプトになってゆくでしょう。今回は、IoTとは何なのか具体的に説明すると同時にマーケティングとの関係について説明していきます。

そもそも、IoTとは?

IoTとは、「Internet of Things」の略であり、一般的に「モノのインターネット」と訳されます。インターネットに接続されているモノというのはサーバーやPC、スマートフォンなどの電子機器を想像すると思いますが、IoTではそれ以外のすべての「モノ」、つまり自動車や家電から建築物のようなものすべてがインターネットに接続されることを表しています。

それぞれにはセンサーなどがつけられ、状態を常に把握することで新たな付加価値をもたらす枠組みを指しています。Cisco社が2011年に発表した世界のインターネット接続デバイス数による調査データによると、2010年に125億台だったインターネットへ接続されているデバイスの台数が2020年になると500億台を突破し、1人あたり約6.5台ものデバイスがインターネットに接続される予測であることが分かりました。

10年間で4倍の「モノ」がインターネットに接続され、様々なデータを生成し、新たなサービスを介して人々の生活を便利にしているということになるのです。 

インターネットがモノに対して、どのように関わるの?

それでは日常利用しているインターネットが、さまざまなモノと接続することによりどのようなことが起こるのでしょうか。まずは基本的な効果をご紹介します。 

リアルタイムでモノの状態を把握できる

温度や気圧、湿度、音など、インターネットと接続すれば、状況の変化をリアルタイムで把握できます。例えば、農家が果物を育てていたとしましょう。ビニールハウス内の温度が急上昇すると果物が傷んでしまうため、インターネットが現在の温度を管理者に通知してくれるようになります。 

離れた場所の情報を、すぐに確認できる

IoTの技術があれば、目視できない遠く離れた場所の情報でも、その場で詳細を確認できます。例えば、自宅に小さい子供を留守番させる場合、家の中のことが非常に気になるでしょう。自宅にカメラを設置しておき、インターネットでアクセスすれば、自宅の中での子供の様子が簡単に分かります。近頃、自宅で留守番をするペットの様子を見るために、このような技術が使われていますが、IoTの技術があるからこそ実現できたことです。

遠距離からの操作ができる

IoTの技術を利用すれば、自宅に到着する前に浴槽のスイッチを入れることができたり、電源を切り忘れたときに、外出先でオフにできたりします。自宅に設置したカメラの監視場所を上下左右に操作することもできるため、モバイルデバイスさえあれば外出先で気になることがあっても、その場で操作し確認できます。 

IoT技術がもたらす課題

上記で、インターネットの技術がモノにどのような影響力を与えるのか紹介しました。しかしながら、インターネットの便利さというものが、必ずメリットに繋がるというわけではありません。全てのモノをインターネットにつなげるとセキュリティの問題が発生してしまいます。

たとえば遠隔操作が可能なデバイスをハッキングし、誤作動させることで意図的に損害を発生させたり、場合によっては大きな事故を発生させることもできるかもしれません。

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また、情報の内容によっては個人情報の漏えいにつながる可能性もあります。人々の行動の履歴や健康状態、経済状態などを知ることができると、これは大きなリスクにつながります。

このため、なんでもつなげればよいというものではなく、特に情報の性質によっては慎重にセキュリティ対策を施す必要があります。

IoTをマーケティングに結びつける

ではマーケティング担当者は、このIoTをどのように自分の仕事に生かせばよいのでしょうか。ここでは二つの視点で考えてみたいと思います。

IoTを取り入れた商品やサービスを開発する

まず第一のアプローチは、自社の製品やサービスにIoTをどのように組み込むかということです。インターネットに接続されたモノ自体やそれを利用したサービスから生成されるデータをビジネスの付加価値として展開をしていくためには、自社の何を強みとしてIoTを組み込むのか、具体的なシナリオとして考えていく必要があります。

マーケティングの4Pでいうと、製品(Product)と販売促進(Promotion)に当たる領域です。

自社がモノ自体を生産する製造業であれば、モノの付加価値を高めたり、モノを起点とした周辺のサービスを合わせて提供することを考えてみましょう。

(例)作動状況を常に遠隔監視し、異音や発熱状況から次の故障個所を予測し予防保全を行うエンジン

また、自社がサービスを提供している場合にも、関連するデータをもとにきめ細かいサービスを提供し、付加価値を高めることも可能です。

(例)自動車の走行距離や速度などの運転状況から料金を変更する自動車保険 

IoT技術を利用して事業化する内容が定まり、どのようなデータを収集し分析するのか決まったのなら、事業内で想定したターゲットに応じて仮説を立てます。さらに、実際にそのようなサービスが成り立つのか、利用者に対する付加価値が生まれるのかなどを検証します。

マーケティング施策の基礎データとして活用する

マーケティング活動の出発点はデータであるともいえます。そのためにマーケティング担当者は1次データを取得するためにアンケートを実施したり、2次データを利用するために調査会社からデータを購入したりします。

サービスを提供することで集まったデータは、自社独自の貴重な1次データです。たとえば、年齢や性別ごとに運転の頻度や距離、速度超過の割合などを取得することができ、さらに他社と差別化されたサービスを開発するための情報となるのです。

このように、マーケティング担当者にとってIoTは非常に身近なものであり、様々な観点で取り入れるべき時に来ているといえるでしょう。

日本で実際に利用されているIoT技術の事例

IoT技術を導入する方法を学んだとしても、まだイメージがわかないという方も多いのではないでしょうか。決して難しく考える必要はありません。すでにIoT技術は、多くの企業で利用されていますので、2つ事例を紹介したいと思います。 

高齢者の安否をポットでお知らせする

最近、高齢者の1人暮らしというものが増えてきました。家庭の事情によっては、どうしてもお年寄りが1人で生活しなければならないということもあるでしょう。その時、遠くに暮らしている親などの安否確認ができたら非常に便利だと思いませんか?

ある日本の企業では、ポットをインターネットと接続し、ポットが使われるたびに遠くに暮らす子供に通知が届くようなサービスを提供しました。その結果、一定時間ポットを使わないとなにかがあったのではないかと迅速に対応できますし、毎日の安否確認が取れることで安心することができるようになりました。

ウェアラブルデバイスで健康管理

もっと身近な例はウェアラブルデバイスでしょう。腕時計のように身につける小型デバイスで、脈拍や血圧などを測定し、健康管理に役立てます。また、毎日の歩行距離や運動量から消費カロリーの計算をしたり、それをクラウドで管理することも可能です。

IoTとマーケティングの相性は良い

今回はIoTとマーケティングの関係について考えてみました。間違いなく言えることは、IoTは製造業のものだけではないことと、マーケティングの担当者にとっては非常に身近で重要な技術になるということです。

自社の製品やサービスの付加価値を生む技術として、またそこで取得したデータをさらにマーケティングに生かすという観点でもぜひ活用していただきたいと思います。

製造業の世界では、「ものづくり」から「ことづくり」への転換が求められており、業種の垣根はますます低くなってゆくでしょう。これからがまさにマーケティング担当者の腕の見せ所です。IoTをバズワードととらえず、味方につけてあらたな価値を生み出してください。

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