テレビCMの効果測定について(GRPとGAP)

 2020.05.13  Marketing Intelligence

日本の広告市場が年々成長する中、インターネット広告費がマスコミ四媒体広告費(テレビメディア、ラジオ、新聞、雑誌)へと迫る勢いになっています。株式会社電通の調査によれば、インターネット広告費は2兆1,048億円、マスコミ四媒体の広告費は2兆6,094億円です。

出典:電通ニュースリリース『2019年 日本の広告費』

そして、テレビ広告とインターネット広告単体での比較においては初めてインターネット広告がテレビ広告を超えたとしています。インターネット広告は縮小するテレビ広告を尻目に16.5%も前年に比べてアップしています。

インターネット環境の整備とスマートフォンの普及、そしてアドテクノロジーの進展によってデジタル広告はまさに隆盛期とも呼べるほどの盛り上がりを見せています。また、デジタル広告は出稿単価が安く、ツールを使用することで効果測定を用意に行えるのが大きな利点です。

一方、マスコミ四媒体広告の中でも代表的なテレビCMについては、高額なコストがかかる上に効果測定も難しく、広告経由でどれくらいの収益が発生したのか?が可視化しにくいのが問題点です。しかし、インパクトはやはり大きいため、商品やサービス、ブランドの認知拡大に大きく貢献する力があります。そこで本記事では、テレビCMを出稿した際に効果測定するための方法をご紹介します。

テレビCMの効果測定について

テレビCMの効果測定はなぜ難しいのか?

デジタル広告の場合、媒体となるバナーなどに解析ツールのスクリプトを組み込むことによって、何回閲覧されたか?何回クリックされたか?広告経由でのコンバージョンはいくつか?といった明瞭なデータを取得できます。これらのデータを分析することで、閲覧回数に対してどれくらいのコンバージョン率(CVR)があるか、コンバージョンを1つ獲得するのに費やしたコストはいくらかを明らかにできます。

一方、テレビCMでは視聴者の自宅に監視システムを導入するわけにもいかないため、分かることといったら視聴率くらいです。また、デジタル広告ではユーザーごとにある程度属性情報を絞り込めますが、テレビCMではどういった人が視聴しているかも判別できません。

さらに、視聴者の中にはテレビCMを観ないという人、ブルーレイレコーダーで番組録画しテレビCMを飛ばして視聴しているという人もいます。テレビCMの効果測定は以前にも増して難しくなっているわけです。

導入事例:ダイキン工業株式会社
[PDCA]導入事例:ネスレ日本株式会社

ただし、デジタル広告ほどハッキリとしたデータは得られないものの、テレビCMにも立派な効果測定の方法があります。

伝統的な方法がGRP(Gross Rating Point:グロス・レーティング・ポイント)です。これは、テレビCMを出稿した量と視聴率をもとにした効果測定方法であり、マーケターなら必ず知っておきたい手法です。

GRPの計算と活用方法

GRPは「延べ視聴率」の意であり、世帯視聴率を計算対象としてテレビCMの効果想定を実施するための手法です。GRPは、テレビCMが放送された時間帯の世帯視聴率を、テレビCMが放送されるごとに計測し、一定期間の世帯視聴率を合計して算出します。

世帯視聴率を計算するには、調査対象地域の世帯の何%が「CMが放送されたチャンネルを付けていたか?」を調べます。具体的な調査方法は「PM(People Mater:ピープル・メーター)システム」と「オンラインメータシステム」の2種類があります。いずれも、調査世帯のテレビ(最大8台)にて、どのチャンネルで表示されていたかを1分に1回計測します。

GRPは世帯視聴率の合計であり、一定期間内に放送したテレビCMの分視聴率を足し算することで算出可能です。例えば、月曜日から金曜日まで1日1回テレビCMを出稿し、放送時間帯(分)の視聴率が月曜5%、火曜5%、水曜10%、木曜8%、金曜10%となった場合、この期間中のGRPは「5%+5%+10%+8%+10%」で合計28%となります。

単純にGRPが高いほどテレビCMがより多くの人の目に留まり、ターゲット層にリーチしたと考えられます。しかし、前述のようにテレビCMを視聴しない人もいますし、片手間でスマートフォンを操作しながら断片的にしかテレビCMを視聴していない人もいますので、一概にもGRPが高ければよいわけではありません。

この問題点を補う効果測定手法として提唱されているのが、デジタルインテリジェンス社のGAP(Gross Attention Point:グロス・アテンション・ポイント)です。

GAP(Gross attention Point:グロス・アテンション・ポイント)とは?

GAPはテレビCMに対する注目度(アテンション・ポイント)を測定する手法で、顔認識技術によって得られたテレビCM視聴者の、個人単位の行動記録データを解析することでテレビCMがどれくらい観られているか(注視されているか)を知ることができます。

GRPは単純な世帯視聴率の合計を計測するため、実際にどれくらいリーチしているか(視聴者に届いているか)は概算的な数値となってしまいます。対してGAPでは、実際にどれくらいの視聴者がテレビCMを注視していたかの累計が知れるので、どれくらいの視聴者にテレビCMがリーチしているかを明確にできます。

ただし、GAPはまだ確立された効果測定方法ではなく、2015年より実証実験が開始されて現在もデータ計測中となっています。テレビCMごとの効果を評価するための指標としては、まだ発展途上というわけです。

テレビCMとデジタル広告のクロスチャネルに注目すべし

基本的にテレビCMとデジタル広告は分断的に考えて広告施策を展開します。しかしその概念に反して、消費者の購買プロセスは非常にダイナミックであり、今ではテレビとデジタル、2つの媒体をまたいだプロセスが常態化しているのです。

例えば、従来のテレビショッピングでは番組を閲覧し、画面に記載されている番号に電話をかけて気に入った商品を注文します。最近ではこの購買プロセスに加えて、いったんウェブサイトでの商品情報や口コミ情報の検索を挟んでから、商品購入に至るケースが増えているのです。

インターネットは消費者にとって貴重な情報源です。あらゆる情報をクリック一つで検索できますし、実際に商品を使っている他のユーザーのリアルな意見を目にすることもできます。テレビCMにおいても例外ではなく、テレビCMを通じてある商品やサービスを認知した消費者の多くはインターネット検索で情報収集を行います。

そうした商品やサービスの特徴を整理し、類似商品と比較した上で最安値店舗を見つけて購入するわけです。このため、近代マーケティングにてテレビCMを出稿する際に重要なのが、テレビCMの効果測定に注力することだけでなく、テレビCMとデジタル広告、あるいはウェブサイトとのクロスチャネル化を検討することです。

テレビCMだけでも認知拡大のインパクトは大きいですが、デジタル広告やウェブサイトとのクロスチャネルを設計することでより大きな広告効果が期待できます。チャネルをまたいだ動線設計を施すことで、効率的なコンバージョンも狙えるでしょう。テレビCMを出稿する際は、単にGRPを測定するだけでなく、デジタル広告やウェブサイトとのクロスチャネル化もぜひご検討ください。

導入事例:KDDI株式会社

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