PEST分析とは?その基本や実践方法について解説

 2020.05.21  Marketing Intelligence

マーケティングでは多様なフレームワークを採り入れることが重要であり、ペルソナやカスタマージャーニーだけでは消費者の購買プロセスや心情の一片しか知り得ることができません。複数のマーケティングフレームワークに加えて、自社ビジネスを取り巻く環境をマクロ(巨視的)な視点で捉える「PEST分析」が欠かせません。本記事では、知っているようで意外と知らない、「PEST分析」を分かりやすく解説します。

PEST分析とは?

フィリップ・コトラーが提唱したPEST分析とは?

「近代マーケティングの父」とうたわれるノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院SCジョンソン特別教授のフィリップ・コトラー。彼が提唱した多数のマーケティングフレームワークのうち、特に有名なのがPEST分析です。

※「マーケティングの4P」に他の要素を加えた6P理論や7P理論も有名ですが、4Pはもともとエドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱したマーケティング理論です。

フィリップ・コトラーは著書『コトラーの戦略的マーケティング』の中で、「調査せずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場に参入しようとするようなものだ」と説明しており、市場参入時や何より環境分析が重要であることを主張しています。そのために重要なマーケティングフレームワークがPEST分析であり、「Politics(政治・法律的要因)」、「Economy(経済的要因)」、「Society(社会・文化的要因)」、そして「Technology(技術的要因)」の頭文字から構成されています。

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PEST分析の目的

成功した企業、売れた製品やサービスというのは、必ず世の中の変化や大きな流れ、トレンドを味方に付けていることが分かっています。自社ビジネスの周囲を取り巻く環境の変化に追随し、自らの組織や商品・サービスを時代に即したものへと変えられることこそ長く生き残るための条件です。

極端な例を挙げるとすれば、現在販売している製品やサービスに関する法律が改訂され、明日からは販売できなくなったとしたらその事業の収益はゼロになります。改正法が施行される前段階から製品の構成や成分を変えたりして施行後も問題なく販売するための準備を整えたりすることが、環境の流れに即することとリスクヘッジへと繋がります。

世の中、市場、時代の変化や大きな流れ、トレンドといった外部環境へ柔軟に対応するために欠かせないのが情報整理です。PEST分析はそのために、政治・法律的要因、経済的要因、社会・文化的要因、技術的要因という4つのカテゴリから自社ビジネスを取り巻く環境の情報整理を行い、外部環境の変化をいち早く察知することが大きな目的となります。

PEST分析の各要因を細かく解説

Politics(政治・法律的要因)

政治・法律的要因では、法律や条例における規制緩和または厳格化、税制の変化など強制力を伴う行政の動向。それらの変化に繋がるような政治的な動きなどが分析の対象になります。市場における競争ルールの多くは法律によって定められています。そのルールが改訂される度に、企業は否が応でも対応しなければいけません。自社ビジネスと無関係な市場におけるルール変更でも、取引先がその市場が属していることで自社が影響を受けることもあります。

食品業界の例を挙げてみましょう。認可・認証を必要としていた「特定保健用食品」と「栄養機能食品」に対し規制緩和が発生したことで、届け出れば誰もが表示できる「機能性表示食品」というカテゴリが新設されました。それまで表示の有無によって分かれていた市場の境界線が壊れ、新たな競争環境が生まれたことで市場のプレイヤーの力関係が大きく変化したのです。

PEST分析の「P」では、政治・法律的要因によって市場呼応増そのものが変化したり、時には市場が分裂・統合したりするような情報を整理して、市場の大きな流れを予測することが重要となります。

 

Economy(経済的要因)

経済的要因では、景気の状態や流れ、経済界全体や市場の成長率、物価や為替の変動など経済に関する変化要因が分析対象です。自社ビジネスの事業内容に応じては、日本国内だけでなく海外諸国の成長率や金利の変化、市場の規模や成長性を調査する必要性も出てきます。また、為替変動にいたっては世界中どこの国でビジネスを展開していても影響度が大きい経済的要因なので、少なくとも円とドルの関係については常にチェックしなければいけません。

さらに、経済的要因では為替変動や各国の金利施策など表面的な数値だけでなく、さらに踏み込んだ調査分析が必要とされます。市場の価値と成長性は「需要と供給のバランス」によって決定するため、消費者の顕在・潜在ニーズの正確な把握が求められます。

労働者不足や人件費高騰といった要因も無視できません。以前は人件費削減の目的で中国に工場を設立していた企業も、人件費高騰を受けて中国よりも発展途上的な東南アジアへと製造拠点を移行しつつあります。人件費の大幅削減に成功すれば、製品価格に大きく影響し、市場を席捲するほど低価格帯の製品を、大きな資本力で打ち出す可能性もあります。

Society(社会・文化的要因)

社会・文化的要因では世間の流行やトレンド、ライフスタイルの変化などをマクロな視点とミクロ(微視的)な視点で捉えていきます。しかし、これらの情報は政治・法律的要因や経済的要因とは違い、調査対象が漠然としているのが難点です。ポイントとなるのは、ターゲットとなる市場や消費者を整理した上で、それらの変化に焦点を当てながら情報を整理することです。無数のターゲットを闇雲に調査分析しても、社会・文化的要因はあまりに広大なのですべての変化を捉えることは不可能です。分析対象を絞ることが、効率・効果的な分析を実現します。

人口バランスの変化、ライフスタイルの変化、新しい流行、社会的インフラの変化、時代の変換器になるような社会的事件、五輪などのイベント、少なくともターゲットとして市場や消費者に変化を与えるようなこれらの要素は把握しておくのが理想です。

Technology(技術的要因)

技術的要因では、市場に大きな変化をもたらす新しいテクノロジーやデジタル技術などを慎重に追うことが大切です。近年では、革新的なテクノロジーと高い独自性を持ったビジネスが市場に新規参入することで、市場構造を大きく覆すデジタルディスラプションが多方面で発生しています。デジタルディスラプションはリスクとチャンスを同時にもたらす破壊的な現象であり、これに追随できるかがら市場での生き残りを左右するでしょう。

近年特に注意が必要なのが、製造業におけるサブスクリプションサービスです。製品をモノとして販売するのではなくサービスとして提供するビジネスモデルは、消費者と企業のニーズが極めて合致しており、今後はさらに拡大すると予測されています。

PEST分析で外部環境を整理してみよう!

数あるマーケティングフレームワークの中でも、PEST分析は複雑かつ整理すべき情報が多いことから、容易には取り組めないものでもあります。しかし、PEST分析によって外部環境を味方に使えることができれば、企業として成功する確率は高くなります。この機会に、ぜひPEST分析へ取り組んでみてください。

 

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